サステナビリティ推進委員長からのメッセージ

「人々の安全な暮らしを守る製品を作る。」
その役割を果たします

阪神動力機械は創業以来、半世紀以上にわたり培われた技術と経験により、水処理設備用機器や河川設備用機器等の水処理や河川環境に関する様々な製品を製作してきました。
その中で、事業活動を通じて人々の暮らしに欠かせない「水」をコントロールし、環境や生活を守るといった「水環境の保全」に貢献してきました。

一方で、日本国内ではこれまで度々渇水が発生し、水道水の断水による生活への影響、工業用水不足による工場の操業短縮や停止、農作物の成長不良等被害が発生してきました。
また、平均気温の上昇といった気候変動により、異常少雨と異常多雨の変動が大きくなる傾向もあり、日本各地で安定的な水の供給が損なわれることが懸念されると共に、異常多雨による河川の氾濫や土砂災害の被害も続いています。
水質汚染に関しても、発展途上国では急激な人口増加と経済発展による工業化で未処理放流が増加しており、日本国内においても下水道の未整備地域では依然として生活排水処理の課題が解決していません。
そのため、安定的な水の供給や下水道施設の整備を中心としたインフラ整備による水資源の保全・災害対策が我々に与えられた使命であると認識しており、今後も事業活動を通じて水環境の保全を進めることが社会の「安全・安心」に貢献していくと考えております。

当社が取り扱う製品の中で、アクアレータは下水・廃水処理施設等の水環境の保全に、減速機は洪水や高潮といった災害対策に貢献しています。
開発面においては、社会的な課題解決に向けて市場と顧客のニーズを形にすることが不可欠であると考えています。
市場と顧客のニーズを形にしてきた中で代表的なものがアクアレータの開発に関する事例です。
アクアレータとは、下水や廃水に空気を送り込む曝気と、かき混ぜる攪拌の両方の機能を持つ装置であり、省エネルギーでの運転が可能であることから水処理コストの大幅な削減を可能としています。
アクアレータが開発される以前は、表面曝気装置が主流であり寒い地域では処理能力が低下しておりました。「寒い地域でも高い処理能力を有した製品がほしい」といった市場ニーズに応える為にも、独自の曝気攪拌技術を活かし、水中攪拌対応が出来るアクアレータの開発に取り掛かりました。
試作品が完成し、試験稼働を実施する際、実際に導入する寒い地域での試験稼働が必要であった事から、極寒の中という過酷な環境下でありながら、「何としてでも水中攪拌出来る製品を作りたい」との思いから試験稼働をやり遂げ、結果アクアレータは完成し、今日に至っております。

公共性が高い製品を取り扱っている為、信頼される品質であるべきと考えています。工場の従業員全員が一つ一つの製品を丁寧に作り、自分自身が手掛けた製品に誇りを持つことが信頼に繋がります。
良いものづくりを続ける為に、当社では多様な人材が各自能力を活かせる職場を目指しています。
また、ものづくりや開発に対しては強い想いを持っていると同時に、製品を作ることだけが社会貢献ではないと考えています。
「ものづくり」といえば作ることに重点を置いていると思われる事が多いですが、我々は納品後のメンテナンス・保守も欠かせない業務であると考えており、実際に納入後の現地へ赴く機会も多いです。
現地でメンテナンス・保守を行うことで、納入先設備の稼働効率を最大限確保出来ると共に、製品の長寿命化を進めることができ、且つ納入先等の各ステークホルダーとの関係性維持を図ることで継続的な下水処理施設等の整備や省エネルギー化といった社会貢献をすることができます。
当社としては、「ものづくり」と「メンテナンス」の両面から、各ステークホルダーとの継続的な関係性維持を努め、社会の持続可能性に貢献していきたいと考えています。

当社が取り扱う製品については何れも人々の目に触れることが少なく、目立たない存在であります。
しかしながら、日常生活には不可欠な存在でもあります。
人々の安全な暮らしを守る製品を作っていくことが阪神動力機械としての社会貢献であり、これからもその役割を果たしていきます。

阪神動力機械株式会社
取締役工場長吉村 猛